さとブログ

アラサー独身男。日々の学び。毎日更新。

ふるさと納税の制度は得して損取れになっている話。制度の妥当性と社会の個人化について。田舎出身者の私見。

残すところ一ヶ月と半分で今年も終わりです。
あなたにとってこの一年はどうでしたか?
年々一年が短くなりますが
今年は特に早かったです…(泣)

 

一年がどんどん短くなる現象は
ジャネーの法則と言われていて
これは、一年が人生の年数分に対しての比率
として捉えることから、一年の比重が小さくなり
毎年毎年早くなっていくように捉えるのです。

ちゃんと一年が早くなることに理由と理論が明確にあることは
嬉しいようでなんだかむごいような気もしますね…。


年末が近づいていく今のシーズン
誰もが急いで始めるのがふるさと納税です。
税金を控除するためには1月までに
ふるさと納税の書類を納税市町村に
提出する必要があります。

注文をしてから書類が郵送になるまでには
タイムラグがあり、そのためもっぱらこのシーズンに駆け込み需要が高まります。

この制度は利用者であるイチ個人としては
ありがたい制度ではあるのですが
イチ市民としては即刻廃止すべきだと考えています。

なぜならふるさと納税は、利用者にも自治体にとってもカンフル剤でしかないから。

 

 


ふるさと納税で肥える地方自治体と泉佐野市の財政の話

ふるさと納税で非常に人気を博しているのは
食料品ですよね。
高級なお肉や海産物が名物である地域が
非常に人気で、トップには北海道や九州の
自治体が軒を連ねています。

 

昨年でトップの自治体は
北海道の紋別市で153億円の税収があり
それに対して税収が最も減った自治体は
横浜市で230億円の見込み減収でした。


過疎にあえぐ地方の自治体の税収が増え
大都市における市民サービスが低下していく
この現状はあまり良くありません。


ふるさと納税の利用額の推移は
右肩上がりで年々増加傾向にあります。
日本のほぼすべての産業が
低迷傾向であるなか、このような成長市場は珍しいです。
そのため、過疎化に歯止めが効かず
財政悪化に悩む市町村が税収を稼ぐために
税収を稼ぐのは当然の話です。

 

実例では、大阪府泉佐野市があります。
泉佐野市は長らく
財政悪化に悩まされていましたが、
ふるさと納税に力を入れたことで
税収が大幅上昇し財政状況が改善されました。
これにより財政健全化団体を
脱したという過去があります。

試行錯誤して財政を立て直したという点ではあっぱれな話です。

 

国を相手取った裁判で逆転勝利した泉佐野市ですが

冷静に考えてみれば自分の住んでいる自治体が

れてしまうかもしれないと考えればなりふり構っていられず
税収を集めろというのは真っ当ですね。

まさに窮鼠猫を噛むといった感じです。

 

ですが、そもそも泉佐野市の財政が悪化した理由は何でしょうか?
空港建設や連絡橋の整備、埋め立て造成した「りんくうタウン」の誘致
市立病院や下水道事業のインフラ整備
によるものだと言われています。(https://renews.jp/article/1209/)

 

確かに大事業の手前整備をすることは大事なのかもしれませんが
ユーザー目線が欠けているのではないか?と私は考えます。

 

ここで地理的な話をします。

関西の拠点都市は大阪市ですよね。
大阪市を中心にすると、神戸までを含む阪神都市圏

また距離が比較的近い京都都市圏があります。

つまり経済の重心は大阪府の北側に集中しているのが関西圏の特徴ですよね。

 

それであるなら大阪市内まで一時間ほどの時間がかかり

これらの都市圏全てから遠い関西空港を利用する人が少ないのは

誰の目から見ても明白でしょう。

分相応ではない投資が過大な借金を生むのは言うまでもありません。


ふるさと納税をやめられない地方の実情とは?自転車操業とスパイラル化


トップの自治体は過疎に悩んでいるという話をしました。
産業も衰退も相まって財政悪化に落ち込み
ふるさと納税に力を入れるのですが
財政が改善されても万事解決とはなりません。
むしろここからが本番です。

 

ふるさと納税で稼ぐ、ということは
それだけ返礼品がたくさん必要になります。

海産物や肉類であればそれなりの加工が
求められるし、スイーツなども
大量生産をするとなれば
設備投資が必要不可欠となります。

つまり、設備投資ぶんを回収するまでは
ふるさと納税で稼がねばいけないのです。

急激な事業拡大は本来、先見性と大局観が
あってこそなされるべきですが
このような急激な場合かつ
地方の命運がかかっている場合
断り切ることがむしろ厳しい部分もあるでしょう。
作って作って作って作りきらなければ
食い扶持を失ってしまうのは自分たちです。
さらなる雇用も生まれます。
企業側はより一層、過酷な市場に送り込まれるのです。


その過程でふるさと納税の制度が終了したらどうなるか?
その地域の企業が苦境に
追い込まれることは予想できます。
うまく行き過ぎて制度が終わった途端に
ものすごい勢いで衰退して、失業者で
溢れかえる未来は想像に難くありません。

 

実際に商品の良さを感じてリピーターとして
以後購入し続けてくれるような顧客もいるでしょうが

ふるさと納税をする人はそもそも「オトク」という観点で商品を選んでいます。
つまり、無料にならないのであれば購入しないという人が大半でしょう。
あくまで税負担の免除ついでにほしいものを
選んでいるわけであって、商品の良さに
共鳴して購入している人は少ないからです。

 

つまり、制度が終了すると
ふるさと納税に本腰を入れた市町村の
光っていた産業から順にかき消えていく
可能性があるのです。
商品の価値以外にインセンティブを感じた消費者というのは非常にシビアです…

 

そもそも地方にふるさと納税のような莫大な税収は必要なのでしょうか?
税金を集めたもので作られた産業や仕組みは
結局のところ脆弱です。
お金がなければすぐに止まってしまいます。
持続的な構造とはなりにくいのです。
また、マネーゲームのような構造になってしまいます。
地域が生き残るために他の地域から
税金をぶんどるゲームになっているのです。
そして、稼いだ税収は市民サービスよりも
過去に自分たちがしでかした失敗の尻拭いとなり借金の返済に消えてしまいます。


人口減少社会は弱肉強食。地方の弱い市町村は潰れるべくして消える

容赦なくハッキリいいます。


人口減少社会では
絶対に消える自治体が出てきます。
計画的に消すべき、自治体も出るでしょう。


これは仕方ないことです。
私は田舎出身で、地元が消えてしまったら悲しいですが

でも仕方がないと思っています。

どうしても潰したくなければ税金に頼らず
自分たちでどうにかするはずです。
だから税金で解決する現状は意味がないのです。

 

お金をもらって起こす行動に大きな意味がないからです。
テストで満点取ったらお金をあげる
という教育方針が、勉強意欲を
向上させないのと同じですよね。

 

税金は、本来住んでいる土地に
落ちるような制度にするべきです。
ふるさと納税の資金を得て田舎の各地が
似たような生き残り戦略を掲げても
周辺市町村も同じようなことをしているので
結局のところ大した代わり映えしません。
コモディティ化してしまいます。

 

よって、効果を出し続けることは非常に難しい。
ふるさと納税の開始当初は子育て支援
激的な変化が見られた市町村もありましたが
そもそも財源がふるさと納税であれば
結局、カンフル剤を使っているだけであり
継続的に発展し続けることは容易ではありません。
それよりは、コンパクトシティの思考に
寄せ、都会にちゃんと税収が落ちるほうが
現実的ではないでしょうか。

 

国民全体が貧乏になっている現状
このような声を上げる人も実際に行動を取ることができる人も稀有でしょう。
実際に私もふるさと納税は利用していますし…
これは、誰もが損をしたくないという
損失回避バイアスが働くからです。

 

しかし、年数を重ねるほどにこの制度をやめることはできなくなります。 
地方がどんどん税収に依存することで自助努力をしなくなるからです。
お金は本来あって然るべきところにあり
正しく利用されることが望ましいからです。


だからこそふるさと納税という制度は
いち早くやめるべきです。
そして、この判断を未来の政治家が下せたなら
それは非常に英断であったと私はそのとき讃えたいです。


そしたらまた。

 

桃太郎電鉄というゲームから学ぶ地方の経済についての話です。

 

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☆読書感想「教養としての社会保障」です。医療従事者としての観点からの問題を探りました。

 

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☆本文中に話した損失回避バイアスについて

「若い時の苦労は買ってでもしろ」という言葉と損をしたくないという

気持ちの関係性についての考察です。

 

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☆悲観論です。円安とインバウンドの未来

インバウンド客は上客でも何でもありません。

 

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