労働時間から考える、放射線技師という職業の隠れた魅力
病院の営業時間は8:30-17:00となっている施設が大半です。
個人の医療機関であれば、前後することはあっても
これ以上に営業時間が長い病院というのはあまりありません。
大きい病院というのは公的機関を感じさせる部分があり
勤務時間も役所のような公的機関に準じています。
職員の勤務時間も同様の時間帯の勤務が基本で
必要に応じて準夜勤、深夜勤のように分かれています。
放射線技師の場合は勤務者の大半が日勤(8:30-17:00)であり
夜勤(17:00-翌8:30)は一人の施設が大半です。
夜勤者を設けずに電話で呼び出し対応している病院もあります。
以上のように、放射線技師は外来患者の対応がメインとなるため
外来の営業時間に合わせて勤務形態が組まれています。
勤務時間が病院の営業時間となるように組まれているため
放射線技師の勤務時間は正職員となると
7.5時間 (1時間の休憩を間に挟みます) という場合が多いです。
現に私の勤めている病院も7.5時間となっています。
また、外来は基本的に平日のみの施設が多いです。
そのため、放射線技師の普段の休みは土日となります。
休日夜間救急をしている病院の場合は、勤務が発生しますが
その分の休日は平日に代休として補填されるため
前後することはあっても、完全週休二日制を保ちやすい職種だと言えます。
完全週休二日制の場合、休日は年120日となります。
つまり一ヶ月あたりの平均勤務日数は、20.42日となります。
勤務時間が7.5時間の場合、時間に直すと153.2時間となります。
放射線技師についての特性は以前に紹介しました。
そのコラムはこちらから。
医師が指示をしない限りは仕事が増えることはありません。
つまり超過勤務をする場合、予測が立てやすいという特徴があります。
このため、期限の範囲内であれば比較的時間の融通がつきやすい分野も多くあります。
つまりAの仕事が仮に残っていたとしても、一週間のバランスを見て
比較的余裕のある曜日にAの仕事を片付けるといったマネジメントが可能です。
これは非常にメリットだと私は考えます。
マネジメント能力次第で超過勤務をある程度、減らすことが可能であるからです。
つまり放射線技師のメリットは超過勤務が少ないことで
超過勤務が20時間を超える施設というのは、
大学病院クラスの病院を除いてそれほど見受けられません。
ここで一般企業の勤務時間を見てみます。
OpenWorkというサイトには、大手企業の年収と超過勤務時間について書かれているページがあります。
https://www.vorkers.com/hatarakigai/vol_16
2015年時点でのものであり、統計数的にも怪しい部分がないとは言えませんが
参考になる部分があると思います。
特筆しているのは大企業の平均年収の高さですが
超過勤務時間の平均時間もすさまじいです。
社員がいた「電通」は72時間と書かれています。
現在は働き方改革により時間外労働の上限は月45時間とされましたが
明らかな働きすぎであることが見て取れます。
過労死ラインは月80時間の超過勤務、
一週間当たり60時間の勤務時間といわれていて
職場全体の平均超過勤務がそのラインに肉薄しているということになります。
ほかの企業に関しても、超過勤務時間は概ね45時間に
近いところが多いと言えるでしょう。
また、週2時間の超過勤務を毎日続けると
一ヶ月20日勤務の場合超過勤務時間は40時間となります。
そしてこの時間は、セックスレスのボーダーラインと言われています 。
このボーダーラインは働き方改革の上限値よりもやや少なくなっています。
しっかりとルールを守っていたとしても
体への影響は計り知れないということが推測できます。
過去のデータをもとに考えても、
現在でも各社大企業は上限未満の超過勤務をしているでしょうから
このような問題は深刻です。
ここで技師に話を戻します。
放射線技師の場合、大企業と比べると当然年収は断然少ないです。
ですが、超過勤務が比較的少なく抑えられるというメリットと
その割には比較的給料が高い(国民所得全体から見て)と言えます。
平たく言えば、コスパがよくワークライフマネジメントを達成しやすいのです。
確かに買いたたかれている民間病院の技師もいますが
放射線技師の給料が安いと考える人が多いのは
公的病院やそれに準じた医療機関である場合は比較的安定していることから
真意ではないと私は思います。
その言葉の裏に隠された真意を掘り下げると、超過勤務が発生しにくいこと。
仕事が受け身型の体質で、出来高とはならないこと。
仕事量に天井があるということが浮かんできます。
つまり、彼らはもう少し超過勤務をして稼ぎたいという
隠された真意をもっているのです。
稼ぎたいのであれば、大学病院でバリバリ働くという手もありますが
その点では大企業には敵いません。
ここは、放射線技師のメリットを最大限に活かすべきです。
放射線技師のメリットはアフターファイブの時間を確保しやすいこと。
ほかの職種よりも可処分時間を確保しやすいという点です。
働き始めて、「時は金なり」という言葉を強く意識します。
日本での意味は、時間はお金ほどの価値があると捉えられます。
時間=お金という見方です。
それに対してアメリカ建国の父の一人である
ベンジャミン・フランクリンが言った
本来の意味での「Time is Money」というのは
両者をイコールで結ぶニュアンスではありません。
日本語で表現するならば、これは「機会損失」という言葉が適当で
お金を得られる機会があったのにそれを逃したという状態を指します。
つまり、時間というものをどのように活用したか?
ということです。
放射線技師のメリットは比較的確保しやすい可処分時間です。
この時間を何に使うか?
技師としてよりエキスパートの道を歩むために
勉強・研究活動に精を出す人もいるでしょう。
自分のやりたいことに時間を費やし、サードプレイスを作り出す人もいます。
はたまた、いろいろなことにチャレンジしてみて
自分の好きなことや得意なことを見出すスイートスポット探しをするのも素敵です。
毎日ソファーに寝そべりネットサーフィンしているのは心地がよいですが
可処分時間の使い方としてはあまりにもったいないです。
Moneyという英語はお金や貨幣を指しますが
もっと広義には「財産」や「富」という意味もあります。
つまり、機会損失は必ずしもお金だけではありません。
いろいろなことに取り組んだり
チャレンジして得た学びや経験は自分にとっての財産です。
つまりワークライフマネジメント
自分の人生を自分の意志で、その都度選び取っていけるのです。
あらゆるジャンルを模索してチャレンジできること
多様な財産を手に入れやすい環境にあるということが
放射線技師という職業にある隠された魅力なのです。
そしたらまた。