外食を浪費にさせない方法
大学時代、私は下宿生活をしていました。
親元を初めて大学で離れた私は、親による半ば強引な説得により下宿で暮らしはじめました。
そこでは一週間のうち日曜日を除いて朝晩のごはんを大家さんが準備していて、それを食べていました。
大学時代と新卒時代を同じ街で過ごした私は、卒業を機に賃貸アパートのを借りて一人暮らしをスタートしました。
大学時代に自炊していたのは日曜日だけで、毎日料理するのは社会人になってからが初めてのことでした。
新卒の頃は、とにかく旅行をしたくて、代休を集めて連休にして遠出をしていました。そのため、無駄遣いをしないという明確な目的がありました。そのため、増えがちな食費を抑えるべく、お弁当作りと毎日の自炊をしていました。
当時は、自炊能力も低く簡単な料理を作っていることが多かったです。
ですが、そのようにして社会人生活をしていると、徐々に自炊スキルが身についてきました。食べたい料理があれば、お店を探すよりも先に、クックパッドのレシピを探すようになりました。一人暮らしにも関わらず餃子や唐揚げをよく作っていたことを覚えています。
これは、純粋に自炊をすることの楽しさと節約(旅行資金をためる)という自炊をする二つの動機付けが一致していたからずっと続けられたのです。
その後、コロナウィルスが流行しました。これにより旅行はおろか不要不急の外出さえ自粛という時代がやってきました。日頃からお酒や煙草、ギャンブルをしない私はそもそもに浪費する機会があまりないのですが、コロナウィルスにより良くも悪くも節制が進みました。
この頃の時点で旅行資金をためるという動機付けの一つが陰り始めました。
何のために節約しているのかがわからなくなってきたこの頃、本格的に投資信託を始めました。浮いたお金をそのまま使わないよりは、金融商品にしたほうがよいお金の使い方だと思ったのです。
それでも自炊は続けていました。それは外食をしてはいけない風潮があったことに加え、感染が下火になった頃でも、その煽りを受けた飲食店が営業時間を短縮したり、夜の営業をやめたりしていて、お店に行ってもやっていないことがザラにあったからです。
気持ちは外食する気満々なのに、お店が開いてなかったときほど凹むものはありません。
そのためやむを得ず、手の込んだ料理を作るようになりました。
ですが、手の込んだ料理は結局のところ、節約にはならないと薄々感じていました。
自炊は高くつくというのはここにあるのでしょう。
今年になってきて、オミクロン株に代わりました。オミクロンとワクチンの作用により重症化の頻度は減ってきました。
定期的に自炊したくない病にかかる私は、夏には暑さゆえ特に意欲がわかないのですが、今年はもはや5月の時点で自炊の意欲が底をついていました。
その理由について考えてみました。
私の自炊動機は
①自炊が楽しいから
②節約(旅行資金の貯蓄)
という二つの柱の上に成り立っています。
現状でも自炊することは楽しいです。
ですがここ最近の変化として、転勤で友人と遊ぶ機会が増えた(よしとする風潮になってきた)こと、やりたいこと(読書、ギター、ブログ)が増えたことが挙げられます。
そしてこのやりたいことのうちには外食も含まれています。
料理することには、その作業の過程で味わいを探求する楽しさがあります。
ですが、ずっと自炊をしていると、決まった味付けになります。
食への探求心は常に内側にはなく外側にあると思います。
つまり自然と人は自炊から外食へと移り変わっていくのではないでしょうか。
かの北大路魯山人は料理の大家でありながら、美食家でもありました。
また、土井善晴さんも「遠くへ行きたい」に出演しているように日本を旅しながらいろいろな食に触れている姿が印象的です。
このようにして一定レベルの自炊能力がつくと、自分の範疇にないものを求めて外食をするという新たな楽しみを見出すようになるのではないでしょうか。初めて食べるものを口にするときの高揚感、緊張感には何とも言えない楽しさがあります。
そして、やりたいことが増えたことで前よりも旅行をしたいという意欲が下がってきました。明確な貯蓄の目標が薄れてきたことで、さらに外食することに楽しさを見出せるようになりました。
このような形での外食は決して浪費ではないと思っています。
浪費というのは無駄遣いです。浪費を極力抑えられたほうが満足度が高くなるのではないかと私は考えます。
そして浪費の定義は千差万別です。
コンビニ弁当が割高だから自炊すべきだという人もいれば、お弁当により時間を買っているという見方も自然な考えです。
ともに正反対の意見ですが、両者とも浪費ではありません。
外食が浪費ではないと私が考えているのは、外食による食の冒険をするという明確な目的が浮かんできたこと、やりたいことが増えたことによる時短的なメリットがあります。
手の込んだ料理を自分で作れたときの達成感はひとしおで自信にもつながり、これもまた喜びです。
しかし、今は自分で作るよりも誰かが作ってくれた料理を食べたいという気持ちが上回っているのです。
外食に限った話ではありませんが、お金を使うときには浪費ではないのか?と一度考えてみるクセをつけることが重要だと私は感じています。
実践するメリットは、浪費を抑えるという作用はもちろんのこと、意識的に選んだのだと改めて自分に認識させることにあります。
これにより、対象物を消費しているあいだに雑念(値段や自分の与える影響など)が頭をよぎることはなくなります。思考によりあらかじめクリアしているからです。
よって、対象物を楽しみきることができます。つまり、満足度の高い消費活動となると私は考えています。決して浪費にはならないのです。
だからこそ、お金を使うときには浪費であるかどうか?という視点でモノを見ることは重要なのです。
そしたらまた。