さとブログ

アラサー独身男。日々の学び。毎日更新。

優秀な人材はどこへ消えた?就職活動の勝ち組と人手不足に悩む職場の違いについて。就職氷河期からわかること。

医療の現場では慢性的な医師、看護師不足に陥っています。

各病院は働き手を集めるために必死です。

私の周りにも奨学金制度を利用している人がいます。

看護師や放射線技師として返済のため

病院で働いている同級生は何人もいます。

 

また、教育の現場や地方公務員の現場も

同様に慢性的に人が足りていません。

教師を志望する学生の減少

また都会の一極集中により

地方公務員は人気が低迷しています。

 

安定した身分でありながら

募集定員分の希望者が集まらない事態はザラにあります。

また希望者が集まらないことで、競争が生まれなくなります。

 

つまり、採用された人員のスペックの低下は避けられず、

受験した人材がその職場やその職業に対して適性があるのか?

といった観点で採否をすることが厳しくなってきました。

 

 

これにより働き手が想像と実態の乖離を感じ

数年以内に仕事を辞めてしまう人が多いのも事実です。

そしてこのような職場は人手不足や

人材のレベルの問題によりさらに疲弊してしまいます。

 

人口減少社会では、労働者側からすると

その気になれば食いっぱぐれることはまずありませんが

雇われて働いていくうちに真綿で首を絞められるような

痛みを伴うことが少なくありません。

 

病院の職場でも、教師や公務員の職場でも人は口々に次の言葉を言います。

「優秀な人材が来ない」

それでは優秀な人材はどこから来てどこに消えたのか?

 

 

優秀な人材がどこから来るのかについては

次のコラムで解説しました。こちらからどうぞ。

doppy-yan.hatenablog.com

 

簡単にいうと、現状の日本社会では

階級の再生産が強くなってきました。

つまり優秀な人材は教育への投資をかけられる

高所得者、上流階級に多くいます。

 

 

優秀な人材は消えた件については、

就職氷河期世代の就活と人材に学ぶことが多くあります。

 

就職氷河期バブル経済が崩壊した頃の

就職活動期のことです。

有効求人倍率が1.0を下回った1993年から2005年のことで

現在38-52歳の人が経験した時代です。

 

ちなみに近年の有効求人倍率

1.50(2017年)、1.60(2018年)、1.61(2019年)と好調でした。

その後、新型コロナウィルスの流行により大きく低迷し、

2020年は1.18、2021年は1.13となっています。

一般職業紹介状況(職業安定業務統計)|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

(厚生労働省のホームページ「一般職業紹介状況」より)

 

バブル期が1.55であったことから

就職氷河期がどれほど厳しかったのかがよくわかります。

バブル期は単純に募集枠が多いことから、売り手市場。

つまり学生は引く手あまたでした。

 

しかし、就職氷河期は一転して買い手市場でした。

募集を出せない職場が大半であり

その少ない枠に大量の学生が受験をするような構造になります。

 

職場には不況で苦しくありながらも、

採用した人材に悩むことはあまりなかったのではないかと想像します。

それは優秀さや職場の適正などの多様な観点から

採用する人材を選ぶことができた買い手市場だったからです。

これゆえ、就職氷河期時代を経験した学生は

優秀でハイスペックだと言われるのではないでしょうか。

当時は優秀でなければ就職することが難しかった時代なのです。

 

では近年の有効求人倍率を考えてみます。

コロナウィルスが始まるまでの有効求人倍率の高まりは、

単に労働力不足によるものです。

 

団塊の世代前後の労働力が65歳を超え、年金を受給し始めたのです。

そして、定年退職した彼らのポストを埋めるのは

それによりも人数の少ない世代が穴埋めすることになります。

これにより、労働力は慢性的に不足しました。

つまり、もうこの時点で人手が足りなくなってしまうのです。

その後も年齢構成的に退職者が就職者を上回る展開になります。

こうして有効求人倍率は高まり

あたかも景気は良さそうに見えるのです。

 

不況下では、学生は仕事のやりがいよりも

給料をはじめとした福利厚生を重視します。

経済が成長しないことは誰の目にも明らかで

その状況下で昇給が期待できる職業は限られています。

 

そして都会への一極集中が高まる現在、一極集中していきます。

これは人材の優劣に関係がありません。

このため、大企業や外資系コンサルなどは現在は非常に高い人気があります。

これは自然な流れだと私は考えます。

つまり、優秀な人材はもっと環境のいい場所に移動しているのです。

 

また優秀な人材の供給量が減っているのも事実でしょう。

優秀な子どもたちが劇的に増えているわけではありません。

シンプルに優秀な子どもの確率が一定だとするなら、

出生児数が減るにつれて優秀な人材も減っていくというのは

考えとして自然ではないでしょうか?

 

優秀な人材がみなハッピーであるかというと

それも適当ではないと思います。

彼らは人気の集中した企業を受験するわけで

報われるのは全員ではありません。

 

このような経済縮小かつ人口減少社会における就職活動では、

売り手市場の学生すら勝ち組とはならず

一部の企業だけが一人勝ちしているのです。

 

就職氷河期が企業側の採用として

上振れのハイスペックな学生を獲得できたとするのなら

ある意味では近年が相対的

に下振れしているというだけの話なのでしょう。

 

では、ほかの全体は

一部の企業のことを指をくわえて見ているしかないのか?

という話になります。

それは違うと私は考えます。

なぜなら職場の魅力がわかれば、応募する人材は増えるからです。

 

私が数年前に新潟に旅行にでかけたとき

地元で介護業をしているオーナーとお話しする機会がありました。

彼は、人材を集めることがとにかく大変だと言っていました。

そして時給さえ高ければ

同一の職種の中で求人募集で優位に立てるという考えのもと、

彼はリサイクル系のビジネスとの二足の草鞋で経営を行っていました。

 

その話を聞いたときにすごく戦略的で素晴らしいと思いました。

必ずしも給料である必要はないとしても

働き手がそこで得られるものを具体的に形として捉えられない限り

慢性的な人材不足問題は解消しないのです。

 

また人口減少社会において、抜本的な解決は現状不可能です。

もはや労働力は奪い合いになり

どこが生き残れるか?という時代が来ているのです。

 

「優秀な人材が入ってこない」

と口々に言っているような職場側は

ただ今まで通りに待っているだけではもはや優秀な人材は集まられない

という時代の変化をしっかりと受け止める必要があります。

 

打開策を編み出すよりほかその嘆きを解消することはできない

ということに、いち早く気づき、社員が疲弊しきる前に

アクションを起こさなければなりません。

 

そしたらまた。