さとブログ

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医療は倫理的に儲けるべきではない、という外野に対する反論意見

赤字の病院は全体の70%を超えています。 

 

そして、大きな病院ほど赤字を脱出することは難しい現状です。大半の公的病院は赤字でも公共のインフラとして存在しており、その赤字を補填するためには大量の税金が投入されます。そして、都市の財政を圧迫していることも少なくありません。

大半がこういった公的病院かつ赤字のせいか医療全般に対して儲けるとは何事だ、と発言する人を多く見かけます。 

 

 

私は医療業界も儲けることに対して貪欲になることが必要だと思います。 

なぜなら、儲けることが結果的に患者の利益を最大化するからです。 

 

儲けるというのは、明確で目に見える目標です。数値で見える目標のほうが戦略が立てやすくなります。そしてそれを達成するためには長期的な計画が必要です。一時的で患者をだますような経営戦略ではたちまちボロが出て、患者は離れていきます。このような儲け方ができるほど患者はあまくありません。 

 

また、儲かる病院というのは患者が多く来ていることになります。その病院が良いからこそ、長くかかりつけとしているということです。つまり、儲けている病院というのは、まわりまわって患者にとって満足度が高いということです。 

そして儲けようという理念が、患者が満足できるように病院を作ろうという形に昇華されているのであって、これは結果的に全員がwinwinになります。 

 

だからこそ、医療業界も儲けることに貪欲になるべきなのです。 

 

  

病院の場合、儲けようと思うと2つのパターンがあります。1つ目は患者一人当たりの単価をあげようとする方法。もう1つは患者数自体を増やそうとする方法です。 

 

医療に対して、倫理的に儲けてはいけないというような発言をしているひとはおそらく前者を想像しているのではないでしょうか? 

 

現状では確かに前者のような形で経営をしている病院は少なくありません。そして、想像するように不要な検査をたくさん実施して患者からお金を巻き上げている病院も確かに存在しています。よって、彼らの言い分も理解できます。 

 

 

ですが、近年は前者のようなあくどい稼ぎ方をできないような病院の料金体系が広がってきました。 

dpcという制度があります。dpcとは診断群分類別包括評価の意味です。一言にいうと、患者の病気によって行った医療行為に応じて、あらかじめ定められた一日あたりの点数をもとに入院医療費を決定する方法を指します。 

 

このdpcのもとで儲けようとすると、基本的に入院患者一人当たりの単価を上げることは不可能です。入院患者に過剰な検査はその分だけ病院の持ち出し、つまり損失になってしまうのです。 

 

このdpc制度の対象病院は厚生労働省より急性期の病院として必要な多くの要件を満たしている優れた病院に限られていて、全国に1757病院となっています。(令和2年4月1日時点) 

 

dpc制度を開始する病院は年々増えていて、病院は透明性のある医療を提供することができるようになりました。これによって後ろめたさを感じることなく病院は稼ぐことができるようになってきました。 

 

このようなdpc制度下では儲けるためには、患者数を増やすことが最重要課題となります。 

患者数を増やすと一口に言っても、それが超過勤務になってしまっては本末転倒です。そのため、時間内に捌ける範囲内で患者数の最大化が求められます。 

また、一度かかりつけになった患者の満足度を下げないということも重要になってくるでしょう。 

 

そのためには病院の建物や導入している装置、最新の治療法を導入すること、ニーズに合わせてフレキシブルに医療を提供することが求められます。継続的に儲けるためには、進化し続けなければならないのです。 

 

このためには人材への投資が重要です。装置をつかいこなす、最新の治療方法を学ぶ。その都度最新の知識に対して図書を購入したり、研修に参加して人材を育成することが必要になります。 

 

人材への投資をするためには、経営状態が良好でなければなりません。経営が傾いた場合にすぐコストカットの影響を受けるのはこのような教育に関する費用です。 

そして、一度カットされたものを元に戻すことは至難の業です。 

 

儲け続けている病院は儲け続け、儲からなくなった病院はコストカットというカンフル剤を得て一時的には回復するも結果的に先細りになってしまいます。 

そのため、このような状況に陥らないように常に儲け続けるということが重要になるのです。 

 

 

また職員も人間です。仕事が割に合わないと思えば、その職場から離れてしまいます。まして、優秀な人材ほど引く手あまたでしょうからいなくなってしまいます。 

 

レベルの高い医療を提供するためには、優秀な人材は必要です。そのような優秀な人材が満足できる生活をできるほどに所得を上げるべきではないかと思います。 

 

医療従事者は崇高な倫理観を持っていると思われているのかもしれませんが、そんなことはありません。 

 

病院側が内発的な理念で儲けることを放棄している病院はとても素晴らしいと思います。 

ですが外野側から儲けることを放棄すべきだ、と声を上げることに対しては甚だ疑問です。 

 

勤務時間外は医療従事者ではありません。一般市民です。 

マイホームも欲しければ、海外旅行にも行きたい。車も所有して、子どもは二人ほしい。 

ごく普通の一般市民なのです。 

医療従事者にも稼ぎたい、収入を増やしたいという思いがあって何がいけないのでしょうか? 

 

 

だからこそ、高度な医療を求めるのであれば、医療従事者の報酬を増やすことや、教育への投資が不可欠なのです。

 

病院は稼ぐことに貪欲であればこそ、患者の利益を最大化することができるのです。

 

 

そしたらまた。