さとブログ

アラサー独身男。日々の学び。毎日更新。

田舎の子育てにおける、たったひとつの欠点

私は高校卒業までの18年、田舎で育ってきました。その街は鉄道のない数万人が暮らすまちでした。洋服を買うとなれば、休日に親の車に2時間揺られ、やっと20万人弱の地方都市で買い物をするというような感じでした。

 

このような子ども時代をいま振り返ると、非常に不便な場所で暮らしていたなという印象はやはり拭えません。それでもふるさとを思うと素直にいい街だなと思います。

 

ちいさい街だったけれど、空気は澄んでいたし自然は豊かでした。街を歩けば必ずと言っていいほど知り合いには会うものの、不審者や物騒なことが起きた記憶はほとんどありません。

 

時代の変化もあるのかもしれませんが、学童に通うことが強制されていなかったし自由に友達の家を通い合う仲になれたのも田舎だったからなのかなと思います。

 

 

改めて考えてみても、田舎で育ってきたことはいいことでした。誰もが自分の生きてきた経歴に間違いだったとはなかなか言えないものですが、それを差し置いても都会では味わえない記憶が心の底に澱として沈んでいるのは幸せだと感じます。

 

 

 

ただ田舎での子育てで一つ引っかかっていることがあります。

それは職業のロールモデルが乏しいことです。

 

子どもの頃によく、将来何をやりたい?って聞かれる機会が多くありました。

私はその問いに困っていました。小学生のころはスポーツ選手やyoutuberと書いてあっても微笑ましいと思いますが、中学高校と進路決定が近づくにつれて漠然と焦りがありました。

 

なぜなら自分の手の内にある職業リストが限られていたからです。子どもの頭の中に浮かんでくる職業というのは、大半が自分の周りにいる大人のしている仕事でしょう。

 

私のイメージですが、美容師の子どもは美容師、教師の子どもは教師というように親の影響を存分に受けて職業決定していることが大半である気がします。

 

その職業の幅が少ないため、見てきた大人のロールモデルの少なさゆえに、この傾向は田舎であるほど、顕著な気がします。最も本人の意思で決断しているでしょうが、親も無意識下で子どもを誘導してしまっているような感覚は否めません。

 

 

私は中学生のときなりたい仕事に獣医と書いていました。犬が好きだったからです。実際にどういう仕事をしているかは一切わからなかったし、そもそもに触れてきた仕事の中でなんとなく良さそうという基準で選んだからです。

 

 

つまり田舎のデメリットはここにあります。 

 

田舎で育ってきた子どもたちは二極化します。都会に進学する組と、そのまま田舎で働く組です。この選択が後々大きな差を生みます。

 

田舎出身の勉強してきた子どもは決まって進学のため地元を離れます。その後、就職の段階で戻りたかったとしても、就職口がないため都会で生活していくことになります。

 

進学を選択しなかった子どもは地元に残り、その街で結婚相手を見つけ子どもを出産し、一生をその街の半径50km以内で暮らすという人も多いです。

 

 

結果的に井の中の蛙大海を知らずといったふうに、同じところで一生を過ごしてしまうのです。田舎の傾向として、優秀な人材をその街に留めておく受け皿がありません。よって、田舎は偏った人材でいっぱいになってしまいます。

あまり真面目でなかった同級生が公務員として働いているのを見ると複雑な気持ちになってしまいます。

 

私が学生時代に仲のよかった友人はみな都会に出ています。地元に帰省しても遊べる友人がいないというのは、明らかに二極化の結果ではないでしょうか?

 

 

もし田舎で子育てをするなら、いろいろな社会人、職業を子どもに見せる必要があるでしょう。

子どもに不幸になってほしいと思うような親はいません。だから、大学に進学するインセンティブを子どもに見せる。いろいろな社会人のロールモデルを子どもに見せて、進学することの意味を感じさせる。

これが田舎においては都会以上に特に重要だと私は考えます。

 

 

そしたらまた。