さとブログ

アラサー独身男。日々の学び。毎日更新。

薄給のエッセンシャルワーカーである医療従事者のあなたへ。あなたの抱えるモヤモヤの正体は何か?

 

最近はコロナウィルスによる規制も緩められてきています。海外旅行はいまだ遠いですが、国内旅行や音楽フェスや夏祭りなどのイベントも復活しつつあり、終息の近づきを感じます。 

 

世間一般的には都道府県間の往来も自由で、職場内でクラスターの発生が起きないように気をつけつつも行動は規制しないように変わってきました。 

 

かれこれ3年間も自粛生活を強いられてきて、そろそろ限界であることは誰の目にも明白です。 

 

医療従事者においても自粛の限界は同様ですが、いまだ厳しい規制を強いている病院は少なくありません。 

 

地方であるほどその傾向は顕著で、県外移動の一切の禁止や県外在住者と会うことを許可しない職場もあります。また、自粛を強制することはハラスメント上できないため、具体的な方針は打ち出さないにも限らず、忖度を促す発言をする医療機関は多くあります。 

 

 

この3年にわたるコロナ禍で、医療従事者の払っているリスク、業務の割には報酬が正当に評価されていないということを感じました。 

エッセンシャルワーカーの待遇の悪さを身をもって自覚しました。 

 

 

エッセンシャルワーカーはその他の職種より待遇が悪いということは過去に証明されています。 

 

人は労働に対して市場価値だけでなく社会的価値を求めるといいます。

そして誰にでも門戸が開かれている医療は、マネタイズしにくいため、市場価値としてすべてを還元することは難しいという側面があります。 

 

人々は労働の報酬というものが給料と社会的価値の合算であるとみていて、社会的に価値の高い医療従事者の給料は、必然と安くなるのは本来のあるべき姿だと倒錯しているから起きるのです。 (president woman 酒井隆史氏「クソどうでもいい仕事よりエッセンシャルワークのほうが「給料が低い」意外な理由」より)

 

このようにして、エッセンシャルワーカーは社会的価値とトレードオフに金銭的報酬を切り崩されているということになるのです。 

 

 

同じ地元の理系大学院の出身の友人と話をしました。 

彼らの入職時の基本給は非常に高く、私の現在の基本給よりずっと高かったのです。

このとき、心の中にモヤモヤした気持ちが渦巻きました。

 

私は放射線技師の仕事は楽しい、働いていることに不満はありません。

仕事に対して誇らしく思う瞬間もあります。 

 

結局のところ社会的価値でメシは食えません。

コロナの流行当初は、医療従事者に感謝という言葉が飛び交っていましたが、「同乗するなら金をくれ」という思っていました。

家族のことを考え、おうちにも帰れない職員もいました。完全に家なき子でした。

     

 

私がモヤモヤした気持ちを深く考えてみました。そもそもこの仕事を選んだ動機は安定していて、比較的豊かな生活が送れるだろうと思ったからです。 

確かに、それは誤りではありませんでしたが、自分よりも優遇されている人を見て微妙な気持ちになったのです。 

 

報酬の高さも、その人の存在を肯定する要素です。あなたの仕事、あなたの存在に対して希少性があるから高給なのです。つまり医療は希望していなくとも勝手に自分の持つ価値を分散投資するという構造になるのです。

 

 

私が彼らの話にモヤモヤしたのは、勉学に励んで得られた職業の運用パフォーマンスが悪いと感じたからなのです。 

 

つまり人的資本論の問題です。 

 

人的資本論というのは、人を資本とみなして自分を元手に勉強という投資を行います。そして投資をすれば必ず見返りがあるという合理的な前提に基づいています。その学びを元手に生産性を高めることで、高い利益を生み出すというのが人的資本論の概要です。

 

私たちは、学生時代は勉強に励む積立期間でした。ですが働き始めるとき、つまり積立満期になって重視するのはあくまで金銭的報酬です。

社会的価値を折り込んで努力に励める学生がどれだけいるでしょうか。

 

  

つまりエッセンシャルワーカーの薄給に対するモヤモヤは運用パフォーマンスの悪さということになります。 

同じ時間を注ぎ込んで、得られる報酬が大きく違うという事実はなかなかに辛いものがあります。 

 

 

コロナで社会的価値の高まりとともに、強制や忖度による自粛で自由が奪われ、一層エッセンシャルワーカーの貧しさがあらわになったのです。  

社会的価値は一種の報酬であるため、報酬が上乗せされることはなく、それでかつ自由が奪われるので結果的にマイナスに感じてしまい離職者が増えたのではないでしょうか。 

 

 

エッセンシャルワーカーの運用パフォーマンスが悪いことは事実ですが、打開しなければ医療従事者の医療離れは進むような気がします。優秀な人材から順に去っていくような恐ろしさを感じます。医療の人気を低迷させることは、社会全体における大きな損失です。

 

社会的価値が高いことは確かに魅力かもしれませんが、社会的価値をごはんに替えることはできません。

誇らしい仕事ですが、誇らしい分だけ給料は天引きしてあります、と正直に言われたら誰がその仕事を希望するでしょうか。

医療に潔白さを求めるのはまだしも、清貧を求めるのが妥当だとは思えないのです。

 

 

人類みな生活者です。だからこそ、いまいちどエッセンシャルワークの報酬を市場価値として見直すべきではないでしょうか。 

 

 

 

そしたらまた。